楽屋のれんとその歴史
楽屋のれんは、よく歌舞伎役者さんや舞台俳優さんの
控え室(楽屋)の入り口にかけるのれんを指し、
ファンの方がプレゼントとして贈ることが多いです。
では、そもそものれんはいつの時代にできたものなのでしょうか?
のれんそのものは平安時代に作られたとの諸説があり発祥の地は京都です。
はじめは雨風を防いだり日差し除けとして使用されていましたが、
室町時代に入ると商業用に広告媒体としてのれんが活用されるようになりました。
楽屋のれんの製作手順とは?
【1】楽屋のれんのサイズ決定
よく、「楽屋のれんって一般的なサイズはどれくらいですか?」
というご質問をお受けしますが、大体たて140~180cm×よこ90~100cm
ほどの縦長サイズで作られることが多いです。
ただし、横のサイズに関してはのれんをかける場所によって前後します。
通常、のれんの横の長さは、のれん棒より20cm短く作ります。
そのため、のれんをかける場所やのれん棒の長さを測った上で、
のれんの横の長さを決めると良いかもしれません!
バンテックでも、実際にのれんを設置する扉のサイズを
測っていたいだくことをおすすめしております。
◆巾(割れ巾)
のれんには切れ目が入ることがほとんどですが、
1枚の布に切れ目を1つ入れると、布が2つにわかれますよね?
この場合、のれんの巾数は2巾となります。
楽屋のれんは2~3巾で製作される方がほとんどです。
飲食店などに使用されるのれんでは、
奇数が縁起の良い数字と言われているため、
3巾や5巾で製作されることが多いです。
(奇数は割り切れないので「余りが出る(余裕がある)」といわれているため)
のれんの用途によっても巾数が変わるんですね!
巾数について、縁起を担いだり、昔からのしきたりだったり
諸説ありますが、もちろんお好みの巾数で製作できますので
お気軽にお申し付けください!
【2】のれんの生地選び
バンテックでは、3種類ののれん生地をおすすめしております。
◆帆布
もっとも綿に近い素材で厚みがあり丈夫な生地です。
キャンバス地ともよばれています。
◆ポプリン
割烹着や白衣などにも使用されている生地で、
薄くて軽く、手触りが良いのが特徴です。
発色の良い生地のため、鮮やかに色を出したい!
という方におすすめしております。
◆スラブ
横に糸のふしがランダムに出ていることが最大の特徴で、
デザイン全体に動きを出すことができます。
のれん生地へのプリントは昇華転写プリントで行います!
以上がご紹介した3つの生地ですが、
バンテックではこれらの生地を「昇華転写プリント」
という印刷方法によって発色させています。
「のれんは本染めで製作でしょ?」
と思われる方も多いかと思いますが、
昇華転写プリントではこの染めに近い風合いを
再現することができるのです!
昇華転写プリントでは水を使わず染料を直接気化させ
生地に浸透させています。
そのため、通常の染めで出てしまう「にじみ」を防ぐことができます。
にじみが出ないことで複雑な模様や細い線の再現が可能なことも
昇華転写プリントの最大の特徴です!
【3】のれんの仕様
チチ仕様
関東でよく見かけるのは下記の写真のような
チチ仕様とよばれる形です。
袋縫い
関西では、こちらのような袋縫いとよばれる
上部全体を閉じている形が一般的です。
【4】楽屋のれんのデザイン
最後に楽屋のれんのデザインを決めましょう!
楽屋のれんはこんな感じです!
楽屋のれんは日本の伝統色や縁起の良いデザインが好まれます。
例えば、上の画像では紅梅色(こうばいいろ)を使用して、
縁起の良い円をモチーフにしています。
右上に、役者さんのお名前を入れて「○○さん江」、
左下に「ひいきより」と入れることが多いです。
のれんの中央部には、紋章や役者さんをイメージするものを
入れることもあります。
オリジナルの楽屋のれんを役者さんにプレゼントしたら
喜んでいただけること間違いなしですね!